スコットランドに関する研究活動
  • スコッチ文化研究所
    スコッチウイスキー評論家土屋守氏と立ち上げたスコットランドの文化全般に関する研究所。
    スコットランド法について研究しています。

           → スコッチ文化研究所のホームページ                    スコッチ文化研究所の代表者土屋守が編集長を務める、ウイスキー専門の(季刊)雑誌「ウイスキー・ワールド」が2005年3月25日に創刊、現在は年に6冊発行しています。当事務所も応援しています。          

 

 
ペットの法律問題に関する研究

 

ペット法学会 役員名簿

                             平成27年11月現在

理事長     棚橋 祐治 

副理事長     吉田 眞澄 

副理事長     林 良博  

常任理事     伊藤 進  

常任理事     堀 龍兒  

理事       小泉 潤二

理事       浦川 道太郎

理事       山本 正尭

理事       角谷 正彦

理 事        杉村 亜紀子

理 事        星野  茂

理 事        長谷川 貞之

理 事        椿  久美子

常任
理事・事務局長  新美 育文 

常任理事・事務局次長 渋谷 寛   

評議員      佐藤  肇

評議員      山口 千津子             

評議員      小河 晴夫                   

評議員      江口 順一              

評議員      泉  幸弘               

監事      会田 保彦              

監事      上杉 昌隆              

顧問      椿  寿夫                     

                  

  最近のシンポジウムの内容は以下のとおりです。

2015年度

第18回 ペット法学会・学術集会のご案内

   テーマ 「ペットの高齢化と法」

 日時 201511月14日(土)

午前10時25分から午後4時30分頃まで(午前10時15分開場予定)

場所 金沢工業大学 東京虎ノ門キャンパス 131301会議室

〒105−0002東京都港区愛宕1−3−4愛宕東洋ビル (別紙地図参照)

〔プログラム〕

○開会の辞(午前10時25分)       ペット法学会理事長  棚橋祐治 

○第一部 コーディネーターの問題提起とパネリスト報告(午前10時30分)              (司会)日本大学法学部教授・弁護士  長谷川貞之
                                         弁護士  浅野明子 1 基調報告(企画の趣旨、問題提起)

日本大学法学部教授・弁護士   長谷川貞之

2 ペットの高齢化と動物医療

       日本大学医学部兼任講師・獣医師  

3 老犬ホームの現場取材からみたペット動物の高齢化と課題

                     時事通信社 記者   森  映 子

 動愛法における老犬ホームの「保管」と「譲受飼養」

                            弁護士   浅 野 明 子

5 目的信託とペット動物の保護〜アメリカ統一法典、各州法のペット信託の展開を参考にして〜

日本大学法学部教授・弁護士   長谷川貞之

 6 ドイツにおけるティアハイムについて
                                                   東洋大学法学部教授     野 訓

   ― 昼食休憩(午後0時35分頃より)―

午後0時40分より役員会(役員のみ)

午後1時35分よりペット法学会総会(会員のみ) 

○第二部 パネルディスカッションと出席者の質疑応答(午後2時)

 1 報告者からの追加報告

 2 コメンテーターからのコメント

 3 出席者との質疑応答  

○閉会の辞(午後4時30分頃終了予定)

○懇親会

学術集会終了後、同キャンパス内にて懇親会を予定しています(懇親会費各2,000円)  

  会員以外の方は当日大会参加費として1,000円をお支払いください。




 

2014年度   (一般の方も参加可能です。参加費1000円が必要です。)      

7回 ペット法学会・学術集会シンポジウム 

テーマ:「飼い主責任のあり方」

: 201411月22日(土)  

               わんわん・ニャンニャン

  前10時30分から午後5時頃まで(午前10時20分開場予定)

場所:金沢工業大学 東京虎ノ門キャンパス 131301会議室

〒105−0002東京都港区愛宕1−3−4愛宕東洋ビル 

         

〔プログラム〕

○開会の辞(午前10時30分)      ペット法学会理事長   棚橋 祐治

 

○午前の部 研究報告(午前10時35分より) 

研究報告

本シンポジウムの意義  シンポジウムコーディネーター 弁護士   吉田 眞澄

1 飼い主責任の現状と課題(報告内容)

                           弁護士   渋谷 寛

2 ペットに対する飼い主責任       国立科学博物館館長   林 良博

(終生飼養義務に関連して安楽死を含め死の問題を含む)

3 社会に対する飼い主責任              弁護士   細川 敦史

4 犬の飼養規制(比較法)      明治大学法科大学院教授   椿 久美子

 

 ― 昼食休憩(12時30分頃より)―

   午後12時40分より役員会(役員のみ)

午後1時30分よりペット法学会総会(会員のみ)

 

○午後の部 研究報告パネルディスカッション(午後2時00分より)

 研究報告

5 飼い主責任と社会の対応       旭化成ホームズくらしノベーション研究所

(ペットの死に対する社会の対応策を含む)

6 飼い主責任のあり方                弁護士   吉田 眞澄

7 15分の休憩をはさみ15:15から報告者によるパネルディスカッション

パネルディスカッションのテーマ(議論の流れにより変更の可能性あり)

(1)狂犬病予防法上の犬の飼い主義務の位置付けとマイクロチップ

(2)犬・猫の飼養者把握促進とペットの住民登録(戸籍)

(3)犬・猫の不妊・去勢手術推進と所有権

(4)飼い主責任強化と飼い主支援

(5)ゆりかごから墓場まで―飼い主責任の多様性

(6)飼い主責任とペットに開かれた社会

(7)飼い主責任とペット大国

 

○閉会の辞(午後5時頃終了予定)

○懇親会

学術集会終了後、会場近くにて懇親会を予定しています(懇親会費各2,000円)

   

 

 

 

2013年度   (一般の方も参加可能です。参加費1000円が必要です。)      

16回 ペット法学会・学術集会シンポジウム 

テーマ:「改正動物愛護管理法施行と関係者の対応策」

日時: 201311月9日(土)

午前10時30分から午後5時30分頃まで(午前10時20分開場予定)場所:金沢工業大学 東京虎ノ門キャンパス 131301会議室

〒105−0002東京都港区愛宕1−3−4愛宕東洋ビル (別紙地図参照)

         

〔プログラム〕

○開会の辞(午前10時30分)      ペット法学会理事長   棚橋 祐治

総合司会        明治大学教授・ペット法学会事務局長   新美 育文

 

○午前の部 研究報告(午前10時40分より) 

研究報告

本シンポジウムの意義  シンポジウムコーディネーター   吉田 眞澄   5分

1 改正動物愛護管理法の特徴と関係者の対応策(基調講演)

  環境省自然環境局動物愛護管理室室長          田邉  仁  45分

2 改正動物愛護管理法と獣医師・獣医師会の対応策

  明治大学教授・ペット法学会事務局長          新美 育文  30分

3 改正動物愛護管理法と関連資格教育組織の対応策

  日本獣医生命科学大学学長               池本 卯典  30分

 

 ― 昼食休憩(12時30分頃より)―

   午後12時40分より役員会(役員のみ)

午後1時30分よりペット法学会総会(会員のみ)

 

○午後の部 研究報告パネルディスカッション(午後2時00分より)

 研究報告

4 改正動物愛護管理法と動物愛護団体等の対応策

  ペット法学会会員・弁護士               細川 敦史  30分

5 改正動物愛護管理法と犬猫等販売業の対応策(下の方に青字で内容を示します。) 

  ペット法学会事務局次長・弁護士            渋谷  寛  30分

6 改正動物愛護管理法施行と残された課題

ペット法学会副理事長・弁護士             吉田 眞澄  45分

7 15分の休憩をはさみ16:00から報告者によるパネルディスカッション

○閉会の辞(午後5時30分頃終了予定)

 

2013年度 第16回 ペット法学会・学術集会シンポジウム   

テーマ:「改正動物愛護管理法施行と関係者の対応策」  

研究報告「改正動物愛護管理法と犬猫等販売業の対応策」

 

                    報告者 弁護士 渋 谷  寛

一 犬猫販売業者への規制の必要性

  ペットブームの中、飼主の需要に応える形で大量のペットが販売された。ペットは商品として扱われ、売り上げを伸ばすために無責任な販売が行われたことがあった。経費削減のため劣悪な環境に置かれることもあった。消費者である飼主及びペットの保護のために、犬猫等販売業者に対する規制の必要が生じた。

二 これまでの規制

  昭和48年の動物保護管理法制定当時、動物販売業に対する規制はなかった。

  平成11年の同法改正で動物取扱業者の届出制が導入された。

  平成17年の動物愛護管理法の改正で登録制に変わった。登録義務(第10条)、登録拒否(第12条)、5年ごとの更新義務(第13条)、登録の取消(第19条)等が規定された。

三 今回改正における規制強化

  平成24年の施行規則改正において付け加えられた事項として、犬又は猫の飼養施設は、他の場所から区分する等の夜間(午後八時から午前八時までの間をいう。)に当該施設に顧客、見学者等を立ち入らせないための措置を講じなければならなくなった。

  1種動物取扱業者と第2種動物取扱業者、登録制と届出制の併用

1 犬猫等動物販売業者(第1種動物取扱業)に対する規制

  販売には、小売業者、卸売業者、販売目的の繁殖又は輸入を行う業者、露天等における販売のための動物飼養業者、使用施設を持たないインターネット等による通信販売業者などが含まれる。

@ 感染性の疾病の予防の努力義務(第21 条の2)

犬猫等動物販売業者を含む第一種動物取扱業者は、その取り扱う動物の健康状態を日常的に確認すること、必要に応じて獣医師による診療を受けさせることその他のその取り扱う動物の感染性の疾病の予防のために必要な措置を適切に実施するよう努めなければならない。

A 販売が困難になった場合の譲渡しについての努力義務(第21 条の3)

犬猫等動物販売業者を含む第一種動物取扱業者は、業を廃止する場合その他の業として動物を取り扱うことが困難になった場合には、当該動物の譲渡しその他の適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

B 犬猫等を販売する際の現物確認・対面説明の義務付け(第21 条の4)

  第一種動物取扱業者のうち犬、猫その他の環境省令で定める動物(哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物、施行規則第八条の二第1項)の販売を業として営む者は、当該動物を販売する場合には、あらかじめ、当該動物を購入しようとする者(第一種動物取扱業者を除く。)に対し、当該販売に係る動物の現在の状態を直接見せるとともに、対面により書面又は電磁的記録を用いて当該動物の飼養又は保管の方法、生年月日、当該動物に係る繁殖を行った者の氏名その他の適正な飼養又は保管のために必要な情報として環境省令で定めるものを提供しなければならない。

2 犬猫販売業者特有の規制の設置

@ 幼齢個体の安全管理、販売が困難となった犬猫等の扱いに関する「犬猫等健康安全計画」の策定(第10 条第3 項)及びその遵守(第22 条の2)

  犬猫等健康安全計画とは、販売の用に供する幼齢の犬猫等(繁殖を併せて行う場合にあっては、幼齢の犬猫等及び繁殖の用に供し、又は供する目的で飼養する犬猫等。)の健康及び安全を保持するための体制の整備、販売の用に供することが困難となった犬猫等の取扱いその他環境省令で定める事項(幼齢の犬猫等の健康及び安全の保持に配慮した飼養、保管、繁殖及び展示の方法、施行規則第2条の2)に関する計画の策定が登録の要件となる(第10条第3項)。

そして、犬猫等販売業者は、犬猫等健康安全計画の定めるところに従い、その業務を行わなければならない(第22条の2)。

A 飼養又は保管する犬猫等の適正飼養のための獣医師等との連携の確保(第22条の3)

  犬猫等販売業者は、その飼養又は保管をする犬猫等の健康及び安全を確保するため、獣医師等との適切な連携の確保を図らなければならない。

B 販売が困難となった犬猫等の終生飼養の確保(第22 条の4)

  犬猫等販売業者は、やむを得ない場合を除き、販売の用に供することが困難となった犬猫等についても、引き続き、当該犬猫等の終生飼養の確保を図らなければならない。

買い手のつかなかった大量の犬猫の譲渡先を探さなければならないことになろう。

C 犬猫等の繁殖業者による出生後56日を経過しない犬猫の販売のための引渡し(販売業者等に対するものを含む。)・展示の禁止(第22 条の5)

  犬猫等販売業者(販売の用に供する犬又は猫の繁殖を行う者に限る。)は、その繁殖を行った犬又は猫であって出生後56日を経過しないものについて、販売のため又は販売の用に供するために引渡し又は展示をすることができない。

なお、「56日」について、施行後3年間は「45日」と、その後別に法律で定める日までの間は「49日」と読み替える(附則第7 条)。

特異な立法例であるが、利害が対立する立場の間での妥協の産物と言えよう。

D 犬・猫等の所有状況の記録・報告(第22 条の6)

  犬猫等販売業者は、環境省令(施行規則第10条の2を参照。)で定めるところにより、帳簿を備え、その所有する犬猫等の個体ごとに、その所有するに至った日、その販売若しくは引渡しをした日又は死亡した日その他の環境省令(施行規則第10条の2を参照。)で定める事項を記載し、これを保存しなければならない。

四 犬猫販売業者の対応策

  今回の改正で、これまでなった義務が多数追加されたことに伴い、それらの義務を果たすための対応に迫られ、事業計画や販売マニュアルの見直し、スタッフへの指導や再教育等の必要性に迫られる。経営への抜本的見直しが必要となろう。経費増加による販売価格の跳ね上げになろうか。個人営業のペットショップが閉店に追い込まれ、チェーン店が残ることになろうか。

五 将来の課題

  行政の立ち入り調査、勧告、命令の実効性の確保

  罰則(実際に刑罰が科された例は極めて少ない)の実行性の確保

  獣医師との不当な結びつきが起きる可能性はないかの検討

  マイクロチップの義務化の時期の検討

  衝動買い、不十分な環境等の問題点を指摘されるペットショップという売買形態の是非の検討

  インターネット販売の全面禁止の検討

                                    以上

 

 

 

 

 

2012年度                       

第15回 ペット法学会・学術集会シンポジウム 

テーマ:「ペット関連事業の新展開と法的課題―

ペット大国への最終ハードルを探る」

日時: 201211月10日(土)

午前10時30分から午後5時30分頃まで(午前10時20分開場予定)

場所:金沢工業大学 東京虎ノ門キャンパス

                131301会議室

                  〒105−0002東京都港区愛宕1−3−4愛宕東洋ビル

         

〔プログラム〕

○開会の辞(午前10時30分)      ペット法学会理事長   棚橋 祐治

総合司会        明治大学教授・ペット法学会事務局長   新美 育文

シンポジウムコーディネーター 

帯広畜産大学理事・副学長・ペット法学会副理事長   吉田 眞澄

○午前の部 研究報告(午前10時40分より) 

研究報告(各25分)

「ペット大国への最終ハードルとペット法学会の役割」 

                帯広畜産大学理事・副学長・ペット法学会副理事長   吉田 眞澄

「獣医療の将来と獣医師法・動物愛護管理法」 麻布大学教授   太田 光明

  「動物愛護管理法改正とペット流通業の課題」朝日新聞アエラ記者 太田 匡彦

  「住宅事業と入居者サービス」   旭化成ホームズ くらしノベーション研究所

 

 ― 昼食休憩(12時30分頃より)―

   午後12時40分より役員会(役員のみ)

午後1時30分よりペット法学会総会(会員のみ)

 

○午後の部 研究報告パネルディスカッション(午後2時00分より)

 研究報告(各25分)

「ペットフードの役割の変化と法的課題」(下の方に青字で内容を示します。)

                                       弁護士・ペット法学会事務局次長   渋谷 寛

「ペット関連事業者としての自治体の挑戦」

                                    京都市議会まちづくり委員会委員長    中村三之助

 

 報告者間の質疑応答(午後3時より90分)

 報告者と参加者の質疑応答(午後4時30分より60分)

 

○閉会の辞(午後5時30分頃終了予定)

 

                           

研究報告「ペットフードの役割の変化と法的課題」

          レジュメ

                    報告者 弁護士 渋 谷  寛

一 初めに

  ペットの食事に関して、家庭でのご飯の残り物を与えていた時代から、ペット専用の食事を与える時代へと移り変わってきた。飼い主が手作りするか、手軽に購入できるペットフードを与えることが多くなった。ペットを飼育している人のペットフードへの依存率は、犬や猫の食事やおやつに関する2007(平成19)年に行われた「ペットフードの安全に対する国民意識調査」(農林水産省、環境省)によると、犬を飼っている世帯の7割、猫を飼っている世帯の8割程度が、100%ペットフードのみで飼っていると回答している。また、一般社団法人ペットフード協会の平成22年 全国犬・猫飼育実態調査 結果(資料1)によると、犬猫共に市販のドライタイプのペットフードの利用が9割近くあり、ほとんどの飼育者が市販のペットフードを利用しているといえる。

  ペットフードの出荷数量は、平成5年では54.4万トンであったのが平成18年では輸入品国産品を合わせて合計77.2万トンになっている(ペットフード工業会 産業実態調査)とのデータがあり(環境省のホームページ)、増加傾向にある。

ペットフードによりかえって健康を害するのではないかとの疑問の声がささやかれる中、平成19年春に北米でペットフードによる死亡事件が起こり、ペットフードの危険性が問題視されるようになった。そこで、我が国にもいわゆるペットフード安全法が制定される運びとなった。しかし、この法律だけでペットフードの安全性は保たれるのか、法律にどのようなことを今後期待すべきなのか。

他方で、ペットフードは多様化、多品種化し、飼い主は、どの様にペットフードを選んだら良いのか迷い始めている。商品のうたい文句に対応するだけの効果は実際にあるのだろうか。

二 ペットフードについて

1 ペットフードの歴史

  19世紀後半にアメリカで犬用ビスケットを作ったのが最初とされている。日本には1950年代に輸入が始まり、1960年代に国産商品が製作されたとされている。

2 ペットフードの種類

ア 目的別として、総合栄養食、間食、その他の目的食(おかず、療養食、サプリメント等)がある

 イ ライフステージ別として、妊娠・授乳期、哺乳期、幼犬期・幼描期・成長期、成犬・成描期、高齢期がある。

ウ 更に、犬の大きさにより小型犬用・中型犬用・大型犬用に分けられ、犬種より分けられることもある。

最近は、多様化が進んでいる。

3 商品としてのペットフード

ペットフードは商品として製品化されているため、企業が利潤追求の為に品質の低いものを使いコストを下げているのではないか、ペットフードの品質が問題とされている。例えば、原材料として鶏肉を使用していると表示されていても、鶏肉のどの部分を使っているかは明らかとされていない。鶏冠の部分、内臓、砕いた骨などが混入しているのではないか。人間の食べる部分を除いた通常捨てるようなものが使われている可能性はないか。

国民生活センターに対しても問い合わせの事例がいくつかあった。カビ毒が混ざっていたとして自主回収したこともあった。

三 ペットフードへの毒物の混入事件

  平成19年3月、北米で特定のペットフードを食べた犬猫が大量に死亡する事件が発生した。中国で原材料にメラミンが混入されたことが判明した。

  日本へも、並行輸入されていたが、この商品による実害の報告はなかった。

  当時我が国では、ペットフードを規制する法律はなかった。人間が食べる牛・豚や鶏等の家畜(飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律施行令(昭和五十一年七月十六日政令第百九十八号)第1条参照)の餌に関しては法規制(「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(昭和二十八年四月十一日法律第三十五号)」いわゆる資料安全法)があったが、人が食べることを前提としない犬猫の餌については規制がなかった。飼い主のペットフードの安全性に対する関心は高まり、北米での被害と同様の被害が我が国に生じないよう、事前に防止できるよう、問題が生じたときに被害を拡大させないようにする何らかの法規制を行うことが検討され始めた。

四 「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(平成二十年六月十八日法律第八十三号)いわゆる「ペットフード安全法」制定。

   同法の規定内容(条文抜粋)

(目的)第一条この法律は、愛がん動物用飼料の製造等に関する規制を行うことにより、愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物の健康を保護し、動物の愛護に寄与することを目的とする。

(定義)第二条この法律において「愛がん動物」とは、愛がんすることを目的として飼養される動物であって政令で定めるものをいう。

 この法律において「愛がん動物用飼料」とは、愛がん動物の  栄養に供することを目的として使用される物をいう。

 この法律において「製造業者」とは、愛がん動物用飼料の製造 (配合及び加工を含む。以下同じ。)を業とする者をいい、「輸入業者」とは、愛がん動物用飼料の輸入を業とする者をいい、「販売業者」とは、愛がん動物用飼料の販売を業とする者で製造業者及び輸入業者以外のものをいう。

(事業者の責務)第三条 製造業者、輸入業者又は販売業者は、その事業活動を行うに当たって、自らが愛がん動物用飼料の安全性の確保について第一義的責任を有していることを認識して、愛がん動物用飼料の安全性の確保に係る知識及び技術の習得、愛がん動物用飼料の原材料の安全性の確保、愛がん動物の健康が害されることを防止するための愛がん動物用飼料の回収その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(国の責務)第四条 国は、愛がん動物用飼料の安全性に関する情報の収集、整理、分析及び提供を図るよう努めなければならない。

(基準及び規格)第五条  農林水産大臣及び環境大臣は、愛がん動物用飼料の使用が原因となって、愛がん動物の健康が害されることを防止する見地から、農林水産省令・環境省令で、愛がん動物用飼料の製造の方法若しくは表示につき基準を定め、又は愛がん動物用飼料の成分につき規格を定めることができる

 農林水産大臣及び環境大臣は、前項の規定により基準又は規格を設定し、改正し、又は廃止しようとするときは、農業資材審議会及び中央環境審議会の意見を聴かなければならない。

(製造等の禁止)第六条  前条第一項の規定により基準又は規格が定められたときは、何人も、次に掲げる行為をしてはならない

 当該基準に合わない方法により、愛がん動物用飼料を販売(不特定又は多数の者に対する販売以外の授与及びこれに準ずるものとして農林水産省令・環境省令で定める授与を含む。以下同じ。)の用に供するために製造すること

 当該基準に合わない方法により製造された愛がん動物用飼 料を販売し、又は販売の用に供するために輸入すること

 当該基準に合う表示がない愛がん動物用飼料を販売するこ と

 当該規格に合わない愛がん動物用飼料を販売し、又は販売の用 に供するために製造し、若しくは輸入すること。

その他の規定内容

  愛がん動物用飼料の廃棄等の命令

    製造業者の届出

    帳簿の備付

    行政の報告徴収・立入検査

    罰則などが定められ

 主に平成21年6月1日より施行された。

政令により犬猫のフードに限定

ペットフード関連業者に対し行政からの監視を行うためには意味のある法規制といえようが、飼い主にとって日常的にどれだけ有意義な立法であるかは再検討の余地があろう。

五 ペットフードの原材料等の表示について

1 飼い主側の疑問

飼い主は、ペットフードに使用される肉は人が普段食べない産業廃棄物を使用しているのではないか、犬や猫の死体が混入しているのではないか、酸化防止剤、防腐剤、エトキシキンなどの有害な薬品(合成添加物)が大量に使用されているのではないか、アレルギー・皮膚病や癌などの病気を誘発していないかなどの疑問を抱いているところ、これらの疑問を解消するに足る規制としては十分であろうか。

  業者には、一定の表示義務が課せられているが、その項目は限られておりまた概括的な表示で足りてしまう。今後は、法律レベルで表示内容をより詳細なものにする必要があるのではなかろうか。

2 政令による表示の基準

愛玩動物用飼料の成分規格等に関する省令(平成二十一年四月二十八日農林水産省・環境省令第一号)

別表

3 販売用愛玩動物用飼料の表示の基準
販売用愛玩動物用飼料には、次に掲げる事項を表示しなければならない。
 ア 販売用愛玩動物用飼料の名称
 イ 原材料名
 ウ 賞味期限(定められた方法により保存した場合において、

期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。)

    エ 製造業者、輸入業者又は販売業者の氏名又は名称及び住所
    オ 原産国名

3 環境省の原材料に関するホームページのQ&Aより

Q3.7 ペットフードの原材料に含まれる添加物を表示する必要はありますか。

A3.7 ペットフードの製造に使用した添加物を記載しますが、原材料に含まれる添加物の表示までは義務付けていませんので、任意表示となります。例えば「かにかま」や「チーズ」などの食品をペットフードに配合する場合、「かにかま」、「チーズ」を原材料名として表示します。
「かにかま」に赤い色素が使用されている場合、色素を原材料として表示することは任意ですが、消費者からの問い合わせには対応できるようにしておくことが望ましいと考えられます。
また、いわゆる加工助剤については、表示を省略することができます。

Q3.10 原材料名の記載について、順番はありますか。

A3.10 公正取引委員会の認定を受けた「ペットフードの表示に関する公正競争規約・施行規則」では、 原材料名の表示は、使用量の多い順に記載すると定められています。ペットフード安全法では、原材料名の記載順序は特に規定していませんが、消費者に対する適切な情報提供の観点からは、原則、多い順に記載することが望ましいと考えます。

4 「ペットフードの表示に関する公正競争規約」(公正取引委員会、消費者庁平成22年11月30日告示第4号)による必要な表示事項

(1)ペットフードの名称

(2)ペットフードの目的(総合栄養食、間食、その他の目的食の別)

(3)内容量

(4)給与方法

(5)賞味期限

(6)成分

(7)原材料名

(8)原産国名

(9)事業者の氏名又は名称及び住所

これらの規定は法的な強制力はない。

5 「ペットフードの表示に関する公正競争規約施行細則」

同規則では、更に細かい表示方法を定めている。

ところで、上記(7)の原材料の表示に関しては、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律の施行について(平成21年農林水産省消費・安全局長環境省自然環境局長通知)」に従い、表示することができる、としている。

6 平成21529日農林水産省消費・安全局長環境省自然環境局長(通知)同通知では次のように定めている。

その3)表示の基準(成分規格等省令別表の3
販売用愛がん動物用飼料は、次に掲げる事項を表示しなければならないこととされている。これらのうち、アからウまでについては、愛がん動物の健康被害の防止の観点から、ウからオまでについては、問題発生時等に製品を特定する観点から表示することとされている。これらの事項は、邦文をもって表示しなければならない。

ア 販売用愛がん動物用飼料の名称
(略)

イ 原材料名
「原材料名」の文字を記載した上で、原則として使用した原材料(添加物も含まれる。)をすべて記載する。

(略)

 添加物にあっては、加工助剤(愛がん動物用飼料の加工の際に添加される物であって、当該愛がん動物用飼料の製造の過程において除去されるもの、当該愛がん動物用飼料の原材料に起因してその愛がん動物用飼料中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの又は当該愛がん動物用飼料中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該愛がん動物用飼料に及ぼさないものをいう。)を除き、原材料として使用したものをすべて記載することとする。
(略)

   このような内容を、法律のレベルまで上げる必要があるのではなかろうか。

六 ペットフードの多様化

  犬猫での区別はもちろん、年齢ごと、種別ごとの製品の必要性はあるのか。多様化し細分化したことに伴う効果の差は本当にあるのであろうか。高齢化、生活慣習病に対する効果はどれだけあるのだろうか。細分化に伴う適切な対応を飼い主はできるのであろうか。

七 ペットの健康との関係

  栄養のバランス、カロリーの調整が必要。総合栄養食だけで足りるのか、低カロリーだとしても与え過ぎてはいないか。

  市販のペットフードを与えることで、かえって健康を害していないか。

八 獣医療との関係

ペットフードは、薬事法で定める動物用医薬品ではないのでパッケージや広告等で疾病の予防や効果効能を標榜することはできない。

特別療法食は、特定の疾患や疾病などに栄養的に対応するために栄養バランスが考慮され、専門的なアドバイスや処方に従って与えることを意図したペットフードとされている。

獣医師と十分に話し合いながら療養食を使用することが望ましい。

平成20411日農林水産省消費安全局長 (通知)「動物用医薬品等の範囲に関する基準について」参照。

九 飼い主の知識の成熟

手作りのものがいいのか、市販のものが良いのか。

栄養素のバランスを取ることと適切なカロリー調整をすることが必要と考えられる。ペットの種類、年齢や散歩などの運動量も関係してくるものと考えられる。ペットの様子を見ながら、排便や体重などを観察しながら適切な餌を与えているのかどうかを判断するしかないのではなかろうか。ペットフードにも品質の差があるようなので、多くの情報を得ながら適切なペットフードを選択すべきであろう。必要とされている栄養素は何か、取りすぎると病気につながる栄養素はないか、飼っているペットごとにこれらのことを調べ勉強する必要もあろう。

仮に悪質又は杜撰な企業があるとしたら、虚偽表示をされてしまうこともあろう。実際、原材料にササミとの表示がありながら、その代わりに白身魚が入っていた例も存在する。ペットの様子を絶えず見ていなければならないし、過去に事件をおこしたことのある企業に関する知識も必要となろう。

一〇 ペットフードの今後の展望

  十分で害のない栄養を容易にとることができ、病気にかからないペットフードの安定的な供給が望まれる。

  ペットフード安全法は、行政に権限を与えた効果が目立つ。飼い主にとって今後どのような法規制が必要となるのか、再検討する必要があろう。

 

 

十一 参考文献

・ペットフード/ペットマナー検定公式テキスト 左向敏紀ほか監修 一般社団法人ペットフード協会発行

・ペットフード安全法の解説 ペットフード安全法研究会編著 大成出版社 

 

 

資料1 一般社団法人ペットフード協会

平成22年 全国犬・猫飼育実態調査 結果

平成22年 全国犬猫飼育率調査:ペットフードのタイプ別利用率(複数回答)

 ペットフードのタイプ

猫(外猫を除く)

市販のドライタイプ

88.6%

94.4%

市販のウエットタイプ

26.5%

53.3%

市販の半生タイプ

18.6%

11.5%

市販のおやつ

37.0%

15.8%

手作りのペット用食事

14.3%

5.0%

人間の食事の残り

12.5%

6.8%

その他

4.3%

6.4%

 

 

2011年度                      

第14回 ペット法学会・学術集会シンポジウム 

テーマ:「動物愛護管理法改正の重要課題」

日時: 201111月5日(土)

午前10時00分から午後5時00分頃まで(午前9時50分開場予定)

場所: JAたかつき (別紙地図参照)

〒569−0071  大阪府高槻市城北町一丁目15−8

〔プログラム〕

○開会の辞(午前10時00分)  ペット法学会理事長       棚橋 祐治

○ペット法学会学術集会の趣旨説明 学術集会コーディネーター・司会  吉田 眞澄

                 (ペット法学会副理事長)

○午前の部 講演と研究報告(午前10時15分より) 

研究報告(各25分)

ペット法学会理事・事務局次長・弁護士         渋谷 寛

             (報告内容(レジュメ)を下の方に青字で転記します。)                        

ペット法学会理事・日本動物愛護協会理事長・獣医師   中川 志郎

ペット法学会会員・THEペット法塾事務局長・弁護士    細川 敦史

ペット法学会副理事長・帯広畜産大学理事・副学長    吉田 眞澄

講演 「動物愛護管理法改正に求めるもの」30分)

自由民主党動物愛護議連事務局長               松浪 健太

 

 ― 昼食休憩(12時20分頃より)―

   午後12時30分より役員会(役員のみ)

午後1時30分より同会場にてペット法学会総会(会員のみ)

 

○午後の部 講演パネルディスカッション(午後2時00分より)

講演 「動物愛護管理法改正に求めるもの」30分)

 民主党動物愛護議連会長                 松野 頼久

パネルディスカッション「動物愛護管理法改正の重要論点」

 ペット法学会監事・ヤマザキ学園大学准教授・日本動物愛護協会常任理事

                            会田 保彦

名古屋学院大学准教授                 川村 隆子

ペット法学会理事・事務局次長・弁護士         渋谷 寛

ペット法学会会員・THEペット法塾事務局長・弁護士    細川 敦史

ペット法学会評議員・日本動物福祉協会・獣医師     山口 千津子

 

○閉会の辞 (午後5時00分頃終了予定)

  ペット法学会常任理事・大阪大学教授          小泉 潤二

○懇親会

学術集会終了後、会場の向かい側(市庁舎15F)の中華菜館桃莉にて懇親会(懇親会費各2,500円)

○協力団体 THEペット法塾 NPO法人動物愛護を推進する会  

     「改正についての環境省の動きと改正の問題点」

                               研究報告者 弁護士 渋 谷  寛

 

第1 改正についての環境省の動き

1 昭和48年に動物保護及び管理に関する法律が議員立法として制定された。過去2度の改正において5年後を目途に改正の必要性を検討するとされてきた。

「平成11年改正の附則 第二条(検討) 政府は、この法律の施行後五年を目途として、国、地方公共団体等における動物の愛護及び管理に関する各種の取組の状況等を勘案して、改正後の動物の愛護及び管理に関する法律の施行の状況について検討を加え、動物の適正な飼養及び保管の観点から必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」

「平成17年改正の附則 第九条(検討) 政府は、この法律の施行後五年を目途として、新法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」

  過去2回の改正はともに議員立法として行われてきた。

2 「動物愛護管理のあり方検討小委員会」(以下「小委員会」とする。)が設置された。

平成22年8月10日、中央環境審議会動物愛護部会のもとに小委員会が設置された。

東京農業大学農学部林良博教授を委員長として合計18名の委員により構成されている。愛護団体の代表者、動物取扱業界、獣医師、動物愛護センター、法律家などの関係者が選ばれている。

環境省に寄せられた要望書などが整理され「制度の見直しにおける主要課題」(資料A)が作成された。

毎月2回のペースで会議が開かれることになった。会議は公開で傍聴が可能。配布資料も委員限りのものを除きほとんど公開されている。

関係者を委員会に招き意見を聞くこと(ヒヤリング)を行ってきた。

当初は平成23年10月には「小委員会報告書」を作成しパブリックコメントを募集する予定だった。ところが、本年3月に起きた東日本大震災の影響で遅れが生じた。

小委員会は本年7月末から8月末にかけて動物取扱業の適正化に関してパブリックコメントを募集した。12万件強のコメントを得ることができた。コメントを整理した一覧表はすでに先日の会議の時点で配布されている。

http://www.env.go.jp/info/iken2.html

  その後も残る課題について検討を加え、2度目のパブリックコメントに向けて案を作成中である。本年10月25日現在の案「動物愛護管理あり方小委員会におけるこれまでの主な意見」は資料B。

  平成24年春の国会における成立に向けて準備中。

第2 改正の問題点 

1 小委員会での議論について

  議論の内容については公開されている議事録を見て頂きたい。

http://www.env.go.jp/council/14animal/yoshi14-03.html

  規制をより実効的なものにするため、たとえば飼育する施設の大きについて数値化を行う必要性があるとの意見も出た。行政関係者は、取扱業者に対し違反していると指摘するためには、明確な基準・数値としての基準が望ましいとする。基準が数値化されていと、違反していると指摘し易いとの理由だ。それでは、どの様に数値化すべきか、数値化するだけの学問的根拠があるか、数値化するとして動物の種類ごとにそれぞれ個別にするべきか、一律の基準で良いかなどが議論されている。動物の種類が多く個体差があるだけに、数値による基準化にも多少の困難がありそうだ。

2 動物愛護管理法が改正したが故に違憲と判断されないために 

たとえば、深夜営業に関する規制の是非について。憲法上の議論をするとしたら、業界側は営業の自由(憲法第22条)を主張する。これに対し、動物愛護の精神をより推し進めるためには、憲法上のどのような人権を引き合いに出し対立させればよいのか。ペットの飼い主の幸福追求権(憲法第13条)であろうか。そのことを否定はしないが、動物愛護の精神からすると不十分な気がする。公共の福祉に反しない限りという制約の中に動物愛護の気風・精神を取り込むことになろうか。いずれにせよ、営業の自由に制限を加える憲法上の正当な根拠が求められ、これにこたえられなければならない。

 法律である動物愛護管理法が改正の結果を最高裁判所で違憲と判断されては大変なこととなる。動物愛護管理法の改正に際しては、違憲な立法とならないように配慮することも必要である。

 我が国では、動物愛護に関連する生類憐みの令が悪法と評価されたという経験がある。国民がついてこられない程の急激な改正は慎むべきであろう。世論の理解・盛り上がりと歩調を合わせて改正を実現してゆくべきである。

 世界に誇れるほどの平和主義を規定した日本国憲法でも、動物に関する規定は存在しない。例えば、動物に関する規定を憲法に置くとしたらどのような規定を置くべきか。「動物は人と同等の権利を有する。」という規定を置くことができるであろうか。ここまで進んだ規定を憲法においた国は諸外国にも例がなく大変難しいであろう。それでは「国は、自然環境と動物を保護しなければならない」とする規定を置くことはどうだろうか。ドイツの基本法第20条aには同様の規定が存する。もしこの規定が我が国の憲法に置かれたら、動物愛護の気風をより高めるための動物愛護管理法の改正が楽に進行することであろう。動物愛護管理法の改正をよりスムーズに進めるためには、憲法改正のための活動も必要である。我が国では、憲法が改正されることはほとんどなく実現可能性は少ないが、動物愛護活動の勢いからこの難関を突破することができるかもしれない。

3 動物虐待に関する罰則規定について

第44条には動物虐待に関する規定が三種類設けられている。動物殺傷、動物虐待と動物遺棄である。

動物殺傷とは、動物を傷つけるもしくは命を絶つことであり、行為としては比較的わかりやすい。しかし、実際の起訴にあたっては、事故による殺傷との区別や立証の難しさという問題がある。虐待行為があったことを明らかにする助けとして法獣医学という分野の進展も必要であろう。

罰則の定義としてより理解し難いのが遺棄行為ではなかろうか。人間に対する遺棄行為についても、対象としての要保護者(老齢者、幼齢者など)の範囲、保護義務の存否、作為の遺棄だけでなく、不作為の遺棄を含むか、移動としての離隔を必要とするかなど様々な議論がある。動物に対する遺棄罪はどのような場合に成立するのか。山中に動物の手足を縛って遺棄したら成立することは間違いないであろう。しかし、手足を縛らず自由に動ける状態で野に放った場合はどうか。動物病院の玄関ドアの前に置き去りにしたときはどうか、街中の公園に置き去りにしたときはどうか、など疑問は尽きない。罰則に関する明確化の努力も必用である。明確化されなければ、警察も動きにくく起訴もされないからである。

4 動物葬祭・埋葬業に関する規制

動物埋葬業者が、火葬すると偽って山中に捨てていた事件が明るみとなり話題を呼んだ。動物葬祭・埋葬業者は、動物取扱業に入れられていないが、改正して加えるべきであろうか。この点、動物愛護管理法は命ある動物を前提とするのであるから、死亡後の動物に関する業種は加えるべきではないとの意見がある。

しかし、動物愛護の気風は、動物の死後に及んでもよいはずである。動物に対する畏敬の念を考慮してもよいのではなかろうか。動物愛護管理法が死後の動物に対する扱いを絶対に排除しなければならないものとも思えない。動物取扱業に追加し、火葬施設を有するか、有するとして常設か移動式かなどに関し登録させることにも一義あろう。

第3 最後に

その他にも重要課題は山積している。改正の必要性と可能性を見極め、もっとも適切な改正条項案を作成するようにしなければならない。

                                    以上

 

2010年度 

第13回 ペット法学会・学術集会 開催通知

テーマ 「動物医療と動物愛護」

 日時  201011月6日(土)

午前10時00分から午後4時30分頃まで(午前9時45分開場予定)

場所  明治大学 研究棟(2F) 第9会議室

〒101−8301 東京都千代田区神田駿河台1−1

                 TEL:03−3296−4317(代)

今回は会員以外の方も参加費を無料と致します。

〔プログラム〕

○開会の辞                     (午前10時00分)

○午前の部    基調報告とパネリスト報告   (午前10時05分より)

基調報告

環境省自然環境局総務課動物愛護管理室長   西 山 理 行(60分)

パネリスト報告

財)日本動物愛護協会 常任理事  会 田 保 彦(45分)

 

 ― 昼食休憩(午前11時50分頃より)―

午後1時00分より同会場にてペット法学会総会(会員のみ)

 

○第二部 パネリスト報告とパネルディスカッション(午後1時30分より)

パネリスト報告

ヤマザキ学園大学 准教授  小 方 宗 次(45分)

宮田動物病院 院長・獣医師  宮 田 勝 重(45分)

― 休 憩 ―

◇ パネルディスカッション(司会新美育文、午後3時10分より)

その後質疑応答

 ◇ 閉会の辞 (午後4時30分頃終了予定)

◇ 午後4時40分頃から同研究棟の別会場にて懇親会(会費各2,000円)

 皆様には、午前9時50分までにはお集まり下さるようお願い申し上げます。

 

 

2009年度 

第12回 ペット法学会・学術集会のご案内

テーマ 「ペットの住まいと旅」

 日時  200911月7日(土)

午前10時00分から午後4時45分頃まで(午前9時50分開場予定)

場所  明治大学 研究棟(2F) 第9会議室

〒101−8301 東京都千代田区神田駿河台1−1

                 TEL:03−3296−4317(代)

今回は会員以外の方も参加費を無料と致します。

〔プログラム〕

○開会の辞                     (午前10時00分)

○午前の部    基調報告とパネリスト報告   (午前10時05分より)

基調報告

「ペットの住まいと旅〜 ペット条例の現状と国立公園における規制 (仮題)」       

             環境省 自然環境担当審議官  渡 辺 綱 男                

 パネリスト報告

 1 「ペットと共同住宅」樺キ谷工コーポレーション 技術推進部門

 エグゼクティブ エンジニア  佐久間 真 一

 2 「住宅におけるペットの保有・管理と裁判例」 

        日本大学法学部 教授 長谷川 貞 之

 ― 昼食休憩(午後12時05分頃より)―

午後1時05分よりペット法学会総会(会員のみ)

○第二部 パネリスト報告とパネルディスカッション(午後1時35分より)

 3 公共交通機関におけるペット移動に対する制約と裁判例に見る移動上の問題点」  

    報告内容(レジュメ)

                       弁護士 渋 谷   寛

 4 「ペットと出掛ける旅〜 受付・受入れの現状と問題点」

         鞄本旅行 赤い風船事業部 担当部長 大 島 浩 子

 5 「ペットを連れた海外旅行をめぐる法律問題」

國學院大學法学部・ 法科大学院教授 吉 井 啓 子

 6 「米国へのペット持込みと法的留意点」日本大学法学部准教授

ニューヨーク州弁護士・外国法事務弁護士  本 力 也

 (休憩)

7 パネルディスカッション・質疑応答

 8 閉会の辞 (午後4時45分頃終了予定)

9 午後5時頃から同研究棟の別会場にて懇親会(懇親会費各2,000円)

 

2008年度

今回は、創立以来10年を経過した記念すべき大会であります。そこで、テーマを「ペット法学会設立10周年記念講演・シンポジウム ペット-この10年」というものにし、ペットと住宅、ペットと健康、ペットと動物愛護、ペットと社会資本・社会システム、及びペットと法律を個別のテーマとして取り上げています。また、会場はこれまで東京が続きましたが、今回は関西地区になっています。さらに、広く一般の人に聴講してもらい学会のことを知ってもらうために会員以外の一般人の聴講料を無料にする様です。

                       記  

テーマ 「ペット―この10年」  

日時  2008年11月8日(土) 10時〜16時30分

場所  大阪府高槻市・現代劇場

        〒569-0077 大阪府高槻市野見町2−33

            TEL 072−671−1061

 [プログラム]

シンポジウム 「ペット―この10年」

    コーディネーター・司会       吉田 真澄

(午前の部  10時開始)

○総論 ペット―10年の総括   東京大学大学院教授        林  良博

○各論 ペットと住宅       旭化成ホームズ株式会社

                 住生活総合研究所所長       熊野  勲

    ペットと社会資本     西日本高速道路専務取締役     山本 正尭

    ペットと健康       (社)日本獣医師会理事      細井戸大成

    ペットと動物愛護     THEペット法塾・弁護士     細川 敦史

― 昼食休憩(12時30分頃より) ―    1330分よりペット法学会総会

(午後の部  14時開始)

    ペットとビジネス     全国ペット小売業協会副会長    太田 勝典

    ペットと法律       帯広畜産大学教授・弁護士     吉田 真澄

○質疑応答 (16時30分頃終了)

 

 

2007年度

第10回 ペット法学会・学術集会のご案内

テーマ 「獣医療と法」

 日時  200711月17日(土)

午前10時25分から午後4時30分頃まで(午前1010分開場予定)

場所  明治大学 研究棟(4F) 第1会議室

〒101−8301 東京都千代田区神田駿河台1−1  

〔プログラム〕

○開会の挨拶                    (午前10時25分)

○第一部 コーディネーターの問題提起とパネリスト報告(午前10時30分)

                  (司会)明治大学教授 新美育文

 

 1 ドイツ法   早稲田大学大学院法務研究科 教授 浦川 道太郎

 2 アメリカ法  日本大学法学部       教授 長谷川 貞之

3 フランス法  國學院大學法務研究科・法学部 准教授 吉井啓子

 4 わが国の獣医療について 井本動物病院院長 獣医師 井本史夫

 5 日本の法状況1             弁護士 渋谷 寛  

     報告内容(レジュメ)

 6 日本の法状況(2)             弁護士 浅野明子

                       ― 昼食休憩(午後0時35分頃より)―

午後1時40分よりペット法学会総会(会員のみ)

○第二部 パネルディスカッションと出席者の質疑応答(午後2時)

 1 パネルディスカッション

 2 出席者の追加報告

 3 出席者との質疑応答(午後4時30分頃終了)

午後4時45分頃から同会場または近隣にて懇親会(懇親会費各2,000円)

    会員以外の方は当日大会参加費として3,000円(学生2,000円)をお支払いください。

             

2006年度

第   9  回 ペット法学会・学術集会のご案内

テーマ 「改正動物愛護管理法施行後の課題」

 日時  2006年11月19日(日)

場所  明治大学 研究棟 第9会議室           

 1 問題提起     帯広畜産大学      教授 吉田眞澄

 2 動物愛護管理行政 環境省動物愛護管理室  室長 築島 明

 3 動物取扱業者   全国ペット小売業協会  副会長 太田勝典

 4 動物実験関連組織 帯広畜産大学      教授 鈴木宏志

 5 動物関係教育機関 ヤマザキ学園      理事長 山ア 薫

 6 実施協力組織   日本動物保護管理協会  事務局長 四宮勝之

 7 動物愛護団体   日本動物福祉協会         山口千津子

 8 報告のまとめ等  帯広畜産大学      教授 吉田眞澄

 

― 昼食休憩(午後0時35分頃より)―

午後1時40分よりペット法学会総会(会員のみ)

      → 明治大学法曹界会報に寄稿(平成14年5月)
       → 2002年シンポジウム、ペットに関する民事判例の報告(渋谷寛)内容        

 ・ 動物雑誌(連載中)

 ベネッセ・コーポレーションの「いぬのきもち」の2003年6月号から「犬法相談室」というコーナーで、「ねこのきもち」の2005年6月号から「もしものときの猫の法律相談所」というコーナーでお手伝いをしています。 

 ネコ・パブリッシングの月刊誌「NEKO」からも時々法律相談を受けています

 

 ・ 当事務所のペット訴訟の経過

1、難病に罹ったネコが動物病院で治療中に死亡した事案で、慰謝料の支払いが命じられたほか、獣医師のカルテ提出義務が一般論として認められました(東京地方裁判所平成19年9月判決)。

2、ナオちゃん訴訟事件(平成19年2月1日判決、飼い主の請求は一部認められましたが、依頼者からの要請により詳細をお伝えすることは出来ません。)

3、リックちゃん訴訟事件(平成19年1月24日判決、飼い主の請求は認められませんでした。)

 ゴールデンリトリバー(当時9才)であるリックちゃんがは、角膜に傷がありその治療のために通院したが、目薬では功を奏さず、瞬膜フラップの手術を進められた。気が進まなかったが断りきれず手術することになった。体温が40度以上(平熱は38度から39度)あるにもかかわらず、また、血液検査項目にも異常な箇所があるにもかかわらず手術を強行し、2日後に死亡した事案。手術すべき状態ではなかったのに手術した獣医師の責任を問う事件です。

 被告の病院は地方にありますが、東京地方裁判所にて受け付けてもらい民事30(医療集中)部に係属され、第一回口頭弁論期日は平成16年11月29日月曜日午前10時より627号法廷となりました。傍聴可。但し、地方の裁判所に移送される可能性があります。

 被告に横浜の弁護士が付き、横浜地方裁判所へ移送されることになりました。それ故、11月29日の法廷は無くなりました。横浜地方裁判所での日程は2月16日(水)601号法廷午前10時からと決まりました(傍聴可能)。第4民事部に係属しまいた。

 横浜地方裁判所でも平成16年10月から医療集中部が発足しました、第4民事部と第5民事部です。

 獣医師側は、多臓器不全による死亡は全く予測できなかったと反論していました。

 

 4、シュナちゃん訴訟事件(平成18年6月末に和解して終了しました)

 獣医師が糖尿病の疑いがあるのに、尿検査も行わず、膵炎の治療のみを行い、退院した翌朝に死亡した事案。

 某大学の有名な教授が鑑定してくれました。膵炎であるとの判断はいたしかたないが、退院後死亡する可能性のあることを説明しなったことは妥当でないとの鑑定をしてくれました。

 

5、真依子ちゃん訴訟事件(確定済み)  

 糖尿病の治療のため入院した犬(真依子チャン)が死亡したことに関し、平成15年7月23日、獣医療過誤訴訟を東京地方裁判所へ提起しました。医療過誤集中部である民事30部に配属され合議事件の扱いとなりました。第1回口頭弁論期日は9月4日午前10時より、611号法廷でした。多数の方に傍聴に来ていただき大変有り難うございました。

 平成15年11月5日の弁論準備。争点は、高血糖であるにもかかわらずインスリンを投与しないことに医学的に理由があるか否かです。

 被告は、インシュリンを投与しなかった理由として、低カリウムで心臓の負担があり死亡する危険がある、血中のインシュリンの量を測定する必要があるが年末で測定できなかった等と反論しています。

 被告の反論に対し、原告側で再反論を行い、その後原・被告両当事者の陳述書を作りそれから証人尋問になります。証人尋問は傍聴可能な公開法廷で行われます。

  平成16年2月16日月曜日午後1時30分より5時頃まで、東京地方裁判所民事30部627号法廷(611号法廷ではありませんご注意下さい)で行われます。原告、被告獣医師、証人としての獣医師に対して尋問が行われます。糖尿病の犬に対し、インシュリンを投与しなかったことについて過失があったか否か等が争点となります。

  証人尋問・本人尋問の手続きは終わりました。カリウムの値が低いのでインシュリンを投与しなかった等の証言がありました。謝罪の言葉はありませんでした。和解をする状況でもないので、事件は終結し判決の言い渡しとなりました。判決の日時は、5月10日午後1時10分(627号法廷)です。

 平成16年5月10日判決言い渡し。 裁判所は獣医師の医療ミスを認めた。入院した翌日にインシュリンを投与しなかったことに注意義務違反があると認めました。

 東京地方裁判所民事30部(医療集中部、福田剛久裁判長、吉岡大地裁判官)
獣医療事件を医療集中部で扱うのは初めてのことと思われる
判決認容額は、慰謝料60万円、治療費等の損害約10万円、弁護士費用10万円の合計約80万円です。

 平成14年3月に宇都宮地方裁判所ででた判決のときには飼い主の慰謝料は20万円でしたので、一気に3倍まで増えたということができます。

昨年7月に提訴し、9月4日が初回口頭弁論期日、今年の2月16日に証人等尋問調べそして終結、5月10日判決言い渡しというスピード審理でした。

テレビのニュース番組、新聞等多数の場面に報道されました。

東京地方裁判所のHP(主要判決速報)に判決文が一時期掲載されました。

被告は控訴しましたが、平成16年6月2日控訴を取り下げました。これにより、一審の判決が確定しました。

判決文の一部を掲載します(アンダーラインは後からつけました)。

「(1)逸失利益

原告らは本件患犬の死亡による逸失利益の賠償の請求をしており、確かに、本件患犬は血統書付きの犬で(甲C2、C3、C18、C22)、多数の表彰等を受けたことがあり(甲C4からC8まで)、平成9年10月5日には日本スピッツ協会から種犬認定を受けており(甲C9)、繁殖可能な年齢であることは認められる(甲C15、原告博充本人)。

しかし、原告らは本件患犬を子供のように思って育ててきたものであり、本件患犬を売却したり繁殖させたりする意思はなかったことは明らかである(甲A8、C13、C14、C21、C37、原告博充本人)から、本件患犬の交換価値を算定することは困難である(原告らは、本件患犬の取得価格等の主張はしておらず、交換価値を損害とすることは、原告らの求めるところでもないと解される。)し、繁殖させることができなくなった逸失利益が発生したと認めることもできない。

したがって、原告らの主張するような逸失利益の賠償はこれを認めることはできないが、本件患犬が上記のような犬であったことは、慰謝料の算定において考慮することとする。

(2)(3)省略

(4)慰謝料                        各30万円

犬をはじめとする動物は、生命を持たない動産とは異なり、個性を有し、自らの意思によって行動するという特徴があり、飼い主とのコミュニケーションを通じて飼い主にとってかけがえのない存在になることがある。原告らは、結婚10周年を機に本件患犬を飼い始め、原告博充の高松への転勤の際に居住した社宅では、犬の飼育が禁止されているところを会社側の特別の許可を得て本件患犬を飼育したほか、その後の東京への転勤の際には本件患犬の飼育環境を考えて自宅マンションを購入し、本件患犬の成長を毎日記録するなど、約10年にわたって本件患犬を自らの子供のように可愛がっていたものであって、原告らの生活において、本件患犬はかけがえのないものとなっていたことが認められる(甲A8、C11、C13、C14、C19からC24まで、C37、原告博充本人)。また、原告らは、以前に飼育していた犬が病死したことから、本件患犬を老衰で看取るべく(スピッツ犬の寿命は約15年である。)、定期的に健康診断を受けさせるなとしてきたにもかかわらず、約10年で本件患犬が死亡することになったものであって、本件以降、原告満美がパニック障害を発症し、治療中であること(甲C11)からみても、原告らが被った精神的苦痛が非常に大きいことが認められる。

そこで、本件患犬が前記(1)で認定したような犬であったことも合わせて斟酌すると、原告らが被った精神的損害に対する慰謝料は、それぞれ30万円と認めるのが相当である。」

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